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ウエッブジャーナル日本海 通巻14号[2001/10/29]
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≪今号の記事≫
  • オタク医師の独り言(11)冷やし中華とインフルエンザワクチン 〜安陪隆明〜
  • ぶらり見てある記 智頭宿の巻 〜福田直実〜


  • オタク医師の独り言(11)冷やし中華とインフルエンザワクチン

     日本の医療は基本的に「国民皆保険制」で、保険を使わずに医療を受ける日本人という のは極めて少ない。良きにつけ悪しきにつけ、保険の枠の中で医療機関の仕事は動いてい る。例えばあなたが「風邪の注射をしてくれ、お金ならちゃんと出すから」と医者に頼み 込んだとしても、その医者から「あなたはたいして熱がないし、注射しなくても大丈夫で す」と言われてしまえば、いくらお金を積んでも注射をしてもらえないことになる。つま り「お金を出せばサービスが買える」という法則が日本の医療では必ずしも当てはまらな いのである。さらに、どの医療をどれだけ受けるとその金額はいくら、という値段はちゃ んと国が決めていて、それより安くも高くもならない。「今日は風邪の注射が安いよ、大 売出しだよ!」なんてことをする医者は日本にはまず存在しないのである。
     ところがそういう制約の中で珍しく、自由にしてよい医療の一つが「ワクチン接種」な のである。値段も各医療機関が自由に決められるし、逆に医師会である程度の値段を決め ようものなら「談合」ということにされてしまうのでそれもできない。当然、他の医療機 関よりも安い値段をつけて、たくさん接種される方を増やしましょう、という医師が出て きてもおかしくはないところである。

     さてまだ6月下旬だというのに、薬を納入する卸さんがインフルエンザワクチンの販促 セットのようなものを持ってこられた。中を見ると「インフルエンザワクチンを接種いた します」と書かれた紙の札が入っている。「インフルエンザワクチン」の文字は赤い色で 書かれている。これを診療所に貼って下さい、という意味なのだろう。その「インフルエ ンザワクチンを接種いたします」と書かれた紙の札を見て、何かに似ていると思った。そ うだ、これは「冷やし中華はじめました」と書かれている紙の札そっくりだ!(^^;)

    私  「なんかこれって『冷やし中華はじめました』の札そっくりだよね」
    卸さん「そう言われればそうですね」
    私  「これをうちの診療所に貼るの?」
    卸さん「…」


     という会話をしたのであった。確かにこれに値段を書き込めば完全に『冷やし中華はじ めました』の札の雰囲気なのである。私には飲食店を馬鹿にしているとか差別感情などは まったくないのだが、「冷やし中華はじめました」みたいな雰囲気をもった、「インフル エンザワクチンを接種いたします」の札を貼った診療所や病院って、患者さんにとっても ちょっと違和感が大きいのではないだろうか? もっともこれは私が「医療の自由化」に対 する感覚をきちんと持っていないためかもしれない。本当に医療が自由なサービス業にな るのなら、こういう札を貼っても悪くないはずである。しかし…そう思ってもやっぱり ひっかかってしまう私なのである。
    「医療の自由化」が叫ばれて久しく、そして実際に時代はじわじわとそちらに向かってい る気もする。そのうち「インフルエンザワクチン大安売り!」「今日はインフルエンザワク チンの特売日!」とか赤い文字で大書したポスターを貼った病院なども出てくるのだろう か? どうもそういう未来に馴染めない気がする私である。

       安陪隆明  
       鳥取県鳥取市
       安陪内科医院


    ぶらり見てある記 智頭宿の巻
     江戸時代から大庄屋として活躍してきた「石谷家」の住宅の公開を機に、智頭町では「観 光地」としてのまちおこしに取り組んでいます。鳥取藩池田公の参勤交代の宿泊地として 智頭宿は賑わうようになりました。いにしえの宿場町の趣を通りのそこここに感じる町並 みをぶらり歩いてみましょう。

    杉玉が迎えてくれる宿場町通り
     国道53号線からひとつ通りを入ると、「因幡街道智頭宿」となります。「因幡街道」は、 智頭からは53号線ではなく、この先は373号線を走り、宮本武蔵のさと大原へと続き ます。さて、智頭宿の通りに面した民家の玄関先、軒先には、杉の葉で作られた「杉玉」 がつるされています。これは元々造り酒屋が新酒の完成をお客に知らせるために、酒屋の 玄関につるしたものなのですが、智頭が「杉のまち」であること、そしてこの智頭宿に 「諏訪酒造」という酒蔵があるため、「杉玉」を飾ることになったそうです。

    江戸時代から明治、大正そして今へと生きる木造住宅
     この春一般公開された「石谷家住宅」は大正8年から約10年かけて改築した大規模な木 造住宅です。つまり、江戸期に作られた部分から順々に増築や改築がされてきています。 木造といっても手入れされれば何百年も本当に住宅として耐えうるものなのですね。とは いっても、この石谷家の建築に使われている木材はそれなりの材料。建築技術も最高です し、木材も最高の材です。住宅を見学した後には以前の居間、食堂をそのまま喫茶コーナ ーにしたところでお庭を拝見しながらコーヒーブレイクといたしましょう。

    まだまだある智頭宿のみどころ
     さてさて、智頭宿をぶらりと歩くと、前述した酒蔵「諏訪酒造」があります。直販コーナ ー、もちろん試飲もできます。以前、「鳳(おおとり)」という純米吟醸酒が「美味しんぼ」 で取り上げられていましたが、このたび、花から「酵母」を採集し仕込んだお酒が話題となっています。 また塩屋出店という食事処の隣に、山口百恵主演映画の監督としても 知られている西河克己監督の記念館も出来ました。密かに百恵ファンには見逃せない穴場 となっています。歩けばまだまだ発見のある宿場町、ゆっくりと散策して下さい。

    [参考ホームページアドレス]
    http://www.town.chizu.tottori.jp/
    http://www.hal.ne.jp/zaidan/
    http://www.hal.ne.jp/chizu-s/
    福田直実


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