ウエッブジャーナル日本海
通巻30号[2003/06/09]
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家作りの現場から〜ビフォーアフターのアフター〜
家作りの現場から〜ビフォーアフターのアフター〜
最近テレビで大人気らしいビフォーアフター。食堂で安ラーメンをすすりながらチラッと目にしたことがあるが、 気に入らんな、あれは。番組としては、タイトルが示すように改修前と後の差をイリュージョンのごとく見せ、拍手喝采というものらし いんやが、見世物としてはよかろう。が、家づくりとしては大切なことが欠落しとる。イカン。 何がイカンって、施主が改造中その仕事に関わることなく放っておかれることがイカン。住まいづくりはライブ じゃ、つくっていく中でいろんなことが飛び出してくる。計算通りにいかんことや設計者には分からんことがある。 そんな時、まず施主の暮らしを中心に置いて、家族の考え方、職人や技術者は技術と知恵を持ち寄り、解決へのよ り良い方向への道を探っていくという共同作業の繰返しが家づくりなんじゃ。
ああ、それが、それがじゃ、設計する者のイメージに全てを委ねきるなんぞは空恐ろしい!誰しも多少とも暮ら し方へのこだわりは持ち合わせておろう。それが工事中に発言の機会も与えられぬままで仕上がっちまうなんぞは 住宅じゃねえぞ。が、聞けば番組の中で落涙する施主もいるらしいから・・・嘘くせぇ。 涙浮かべながら「誰がこんなことにしちまったんじゃ!おどりゃ〜金返せ!」っちゅうヤツはおらんのか?「家ん 中へ水鉢なんぞ置きくさって、年寄りが夜中に足つっこんだり、つまづいたりしたらどないしてくれるんじゃ!」 って、鬼のごとき面相で「匠」なんぞと呼ばれている輩に食ってかかる骨のある奴はおらんのか? そこで提案じゃ。「ビフォーアフターのアフター」っていう番組作ったらどうじゃろう?放映の後、半年か一年 か経った家族の暮らしや、改造された家の更なる変化を追いかけるんやが、これ、けっこう面白いかもしれん。
批判ばっかしじゃ心苦しいという訳でもないんやが、この番組のええこともある。1つは、家という「暮らしの 器」の、改造や改修の本来の意味や可能性を広く知らしめてくれることや。 暮らしは年月とともに変化してゆくわね。したがってその器である家も時代の変化とともに、機能・形態を変化 させてゆくことは自明の理や。したがってリフォームの結果は新築のものと比べても遜色の無いものとして、時代 にちゃんと通用せなあかん。 とかく日本人は、ある部分が気に入らんようになると、全体まで気に入らんとばかりに壊したり放棄しがちであ るが、不具合になったとこを修繕して気に入るように変えてゆく、その可能性や素晴らしさをこの番組が教えてく れるならば多いに結構や。もう1つはその仕事に関わるプロの本来の役割を教えてくれることや。プロの仕事は施主の要望に対して自分の 持つ全知識と技術力を持って応えるということ。ある意味滑稽と思われるようなアイディアも、その探求の結果と なれば、苦笑いとともに許せるかもしれん。ただ、そうならないためにも工事中の施主の参加は絶対条件やとは思 うがね・・・。
「消費は美徳」という掛け声とともに始まった消費文化の時代が、至るところで不具合を呈し始めた今日。多く の分野でこれを修復してくれる匠の出現が待たれている。社会構造全般に渡るビフォーアフターの「匠」の出現、 待っとるで。
(株)藤原工務店
安藤瀞和
このコラムのコンセプト
自然体の暮らしの器として住宅を見るとき、以外と不合理なことがたくさんある。 しかし建築という特殊なものだからと深く考えずに見過ごすことが多い。 そんなことを自然体建築道の修行者の視点で愚痴る。
安藤瀞和(あんどうとろわ)のプロフィール
建築素浪人。自然体建築道の奥義を極めたいと修行に励んでいる。師はいない。
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