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ウエッブジャーナル日本海 通巻32号[2003/07/05]
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≪今号の記事≫
  • 家作りの現場から〜何で高気密・高断熱?〜


  • 家作りの現場から〜何で高気密・高断熱?〜
      住宅の宣伝でよく目にする「高気密・高断熱」。近代的で優れた住宅を印象づける効果を狙ってたくさん使われとるんやろね。
     「んで、高気密・高断熱って何に優れてるんや?」
     「アホか、気密と断熱って書いてあるやろ。」
     「ふ〜ん、でも気密と断熱に優れたら何がええんや?」
     「アホやな〜っ、エアコンや暖房器具の効きがようなるんに決まっとるやないか。」
     「あぁ、そうか!エアコンや暖房器具の効率のためか。」
     「そや、エアコンや暖房器具の効率や。」
     「へ〜え、それ住む人にとって何かええことあるんか?」
     「アホ、光熱費が安上がりになるやろが。」
     「そうか、でもそれってエアコンのある家のことやろ?うち無いんやけど何がええんや?」
      高気密・高断熱・・・うちには?」
     「??????・・・」
    とまあバカ話にたとえてみたんやが、家を高気密・高断熱にすることによって得られる効果の何がええんか、専門の一角を汚す 者でありながらよう分からん。

    優れた調湿効果を発揮する多孔質の土壁(写真は荒壁仕上げ+枝)
    優れた調湿効果を発揮する多孔質の土壁(写真は荒壁仕上げ+枝)
      最近の若年者は体温が低めで、夏に熱射病になりやすいらしい。年中エアコンの効いた環境に暮らすことに、その原因があると推測 されているとも聞く。このように、たとえ室内を宇宙ステーションのように環境コントロールしても、1歩外へ出れば何千年と変わら ぬ日本の四季があり、体はそれに順応しなくてはならない。そうすると、室内環境の維持・効率だけしか考えていないような家のつく り方というものが、果たして一般的な日本人の暮らしに良いのか・・・はなはだ疑問や。
     もともと日本のほとんどの地域での暮らしは、どちらかというと四季と上手くつきあい、風土との繋がりを保ちながらということが 前提で成立しており、北極に近い国のように自然と対峙しながら暮らすスタイルではなかった。したがって家もその暮らしに沿った理 念のもとで発達してきていたと思うんや。ところが最近は生活スタイルが西洋化し、挙句の果てには建物まで、日本とは全く違う気候 風土の中から生まれた思想でつくられた「洋もの」が優れていると勘違いし始めとるのと違うやろか?



    土壁と木と和紙、呼吸する部屋
    土壁と木と和紙、呼吸する部屋
     そこで最初の話や。高気密・高断熱は、本当に日本で暮らす人間にええことなんかね?  例えば現地で高気密な壁体を作ったとしよう。それが夏の不快指数が最高値の日やったりしたら、そこに封入された空気は一年中、 室内か室外かの気温が下がる度に余剰の水分を壁の中で発生させ、建物の耐久性を低下させたりせんのやろうか?また、製品管理の行 き届いた工場で製作されたものにしても、何かの条件で高気密が維持できなくなった時、日本の四季の変化の中で当初の性能は維持で きるんやろか?外断熱や、壁の中に空気を通す方法とか、いろいろ付随したシステムにしてもそうや。高気密・高断熱を採用するから そんなもんが必要になる。

     夏・冬の環境が室内外で反転するような日本の風土では、隙間風があったり、調湿効果の優れた材料を使うことには、合理的な部分 もあったはずや。そんなええとこを残しながら、寒くなかったり雑音に対処できる、日本の風土にふさわしい快適な家をつくることこ そ大切なん違う?低気密・低断熱、あかんかなぁ?
    (株)藤原工務店
    安藤瀞和

    このコラムのコンセプト
    自然体の暮らしの器として住宅を見るとき、意外と不合理なことがたくさんある。 しかし建築という特殊なものだからと深く考えずに見過ごすことが多い。 そんなことを自然体建築道の修行者の視点で愚痴る。
    安藤瀞和(あんどうとろわ)のプロフィール
    建築素浪人。自然体建築道の奥義を極めたいと修行に励んでいる。師はいない。


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