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ウエッブジャーナル日本海 通巻34号[2003/08/06]
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≪今号の記事≫
  • 家作りの現場から〜シックハウス〜


  • 家作りの現場から〜シックハウス〜
     「シックハウス」という言葉、よう耳にするようになった。新建材や工業製品に囲まれた家での暮ら しの人体に与える悪影響が問題になってきたわけや。この世に人間の健康に影響を及ぼさないものなぞ あるものか、とも思うんじゃが、そう言ってしまうとシックハウスの定義からあやしくなっちまう。ま、 そこは人体や医学の専門家にまかせておいて、自然体建築道修行者のワシとしては少し違う視点からこ の問題を眺めてみようと思う。

     家は毎日の生活をする場やから、その環境は食事と同じように健康に影響するやろういうことは何と なく理解できるし、気にもなる。シックハウスで話題の科学物質だけをことさらに問題にしなくても、 日当たり、風通し、振動、騒音、匂い、と自然界の多くの要素もまた、五感を通じて人へと伝わる。こ れらに何となく感じる第六感、オカルト的なものまで加えると、健康へ影響を及ぼす要素は際限がない。 オカルトはともかく、科学物質はもちろん自然素材に至るまで、実際にはあらゆるものが人体に影響を 及ぼすわけやけど、科学物質による人体への影響ばかりが注目されて増えるのが、自然素材万能とばか り、信仰にも近い「信仰型自然派」なんやねぇ。

     確かに自然素材が人間に良いってことはいっぱいある。でも自然素材も万能ではないし、自然素材で あるが故の癖もある。手入れを怠らないとか、それに対応した暮らし方を心がけるとか、つき合うには それなりの覚悟が必要や。 例えば、人体に優しいといわれる素材は小動物にも負荷が少ないはずで、 そういった素材で建てられた家というのは、そもそも虫や鼠などにも住みやすい家ということになる。 虫や小動物と同居はいやだけど、薬品や新素材の人体への影響も心配だという人は、昔から行われてい た掃除や虫干しといった人類の知恵に頼るしかないかもしれんのやけど、はたしてできるんやろか?そ んなことが面倒だっていう人のために開発されたのが、メンテナンスフリーとか謳われている新素材群 で、これに頼りすぎた結果がシックハウス。 要は、自然素材にせよ工業製品にせよオールマイティな ものは無いってことを知って、それらとうまく付き合う生活スタイルを自分で身に付けることしか無い と思うんやね。

     住宅を構成する素材がどんどん工業化されてきた背景の1つには、忙しい現代生活を送る住まい手側 の「手間をかけない」といったメンテナンスフリー工業製品へのニーズもあったと思うんやね。けどそ れが最近、健康生活をおかしくしているらしいことに皆が段々と気付きはじめた。これを修復しようと するなら、そんな変化が始まった時点、その岐路となった時点に一旦立ち戻り、現代の生活環境との違 いから考え直してみる必要があると思うんや。そうして考えてみると、進歩・発達してきたと思ってき たこの何十年かの歩み、時間はいったい何やったんやろう・・・空白?

     気になることがある。健康で快適な暮らしは、基本的には自分達の暮らし方、ライフスタイル全般を 通じて得るものやと思うんやけど、どうも最近、強制換気システムや24時間空調といった、機械による 環境のコントロールこそが抜本的解決方法であるかのような風潮が広まりつつあることや。それやった ら今までと変わらない場当たり的な対処療法の延長線上と違う?今新しい岐路に立って、また間違った 方向へ踏み出そうとし始めたのと違うやろか。また何十年や・・・。
    写真 工業製品と自然素材、適材適所で使い分ける。
    素材の特性と住まい方のバランスを考えることが肝心
    (株)藤原工務店
    安藤瀞和

    このコラムのコンセプト
    自然体の暮らしの器として住宅を見るとき、意外と不合理なことがたくさんある。 しかし建築という特殊なものだからと深く考えずに見過ごすことが多い。 そんなことを自然体建築道の修行者の視点で愚痴る。
    安藤瀞和(あんどうとろわ)のプロフィール
    建築素浪人。自然体建築道の奥義を極めたいと修行に励んでいる。師はいない。


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