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≪今号の記事≫
家作りの現場から〜古民家再生〜なんでも古い民家の再生がブームやとか。何はともあれ古民家が使い継がれてゆくのは大賛成や。 じゃが、古民家の何が好まれておるのだろう?ハタと考えてみたんやが、太い柱や梁で構成された ドラマチックな空間や、単に囲炉裏の醸すノスタルジックな空間など、どうも視覚的なもの
民家を再生させる第一の意義は、日常的な現代生活の器として立派に通用する住宅となることや。 決して特別な建物(例えば別荘とかゲストハウス)としてしか利用価値がないわけではない。現代 住宅となって初めてその本来の意味が発揮されるんや。そうやないと民家の再生はいつまでたって も「キワモノ」を外れん。その点で、昨今マスコミなどで象徴的に取り上げられるような民家再生 事例に少し異論がある。 自分達の家を大切に住み継ぐ人から相談を受ける時、こんな風に言われることがよくある。 「そんなに大きな家でもないしね。古くもないので・・再生する価値ありますかねこんなもん?」 ある、ある、大ありやがなそんなもん!!さっき言うたように、民家再生の第一義は現代住宅とす ること、大切に住み継ごうとしている人にこそふさわしいんや!大空間や古さ、立派さを見せびら かすためにするもんやない。父や母から受け継いだ思いのいっぱい詰まった家の良さを次に繋ぎた い。そんな心こそ大切にしたいやないか。これまでたくさんの民家再生に立ち会うてきたけど、そ ういう家こそ人に暖かく優しいヒューマンスケールが存在していて、再生された空間が何とも言え ず居心地が良く、嬉しいもんや。 確かに歴史のある大空間の再生は、それはそれで魅力がある。でもクドイようやが、民家再生の 本当の意味は、形態がおもしろかったり貴重やからってところにあるわけではないと思うんや。ま ずは、家を大切に住み継ぐ人にきちんと現代生活を保証する、普通の暮らしに根ざした手法として あるもののはず。だからこそ単なるデザインでなく、古典的な工法に通じた職人や、現代的な力学 や設備や工法の知識、さらに住み継ぐ人の価値観をキャッチする感性といった、総合的な力をもっ た技術者が必要となる。これはもう立派にプロの仕事と言える。そういった意味でも、民家再生は プロがプロらしい力を発揮できるええ仕事や。お施主さんの要望を実現するために、職人や技術者 の持てる技と知恵の全てを注ぎ込む。こんな仕事はプロ冥利に尽きるというもんや。 家を大切に住み継ごうと考えている御仁があるならば、どうかどうか、あまり古くないとか大き くないなどと心配されぬよう民家再生の道を求められたい。その貴殿の真意を理解する職人・技術 者には、そう簡単には巡り会えないかもしれぬ。けれど、真のプロ意識を持つ者であるならば、必 ずやその仕事の持つ意味、可能性に気づくはず。そうでなくては職人も胸を張って行く道はないと 気づいてもらえるはずや。 「民家再生」。大きな流通・配給システム全盛の時代、その方向にしか未来を見出せないような 社会の中で、そうばっかりやない!と、ポッと灯った小さな火みたいなもんや。家の意味を、プロ の役割を教えてくれる大切なことやと思う。キワモノで終わらんように灯し続けなあかん。
このコラムのコンセプト 自然体の暮らしの器として住宅を見るとき、意外と不合理なことがたくさんある。 しかし建築という特殊なものだからと深く考えずに見過ごすことが多い。 そんなことを自然体建築道の修行者の視点で愚痴る。
安藤瀞和(あんどうとろわ)のプロフィール
建築素浪人。自然体建築道の奥義を極めたいと修行に励んでいる。師はいない。 |
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