ウエッブジャーナル日本海
通巻37号[2003/09/20]
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≪今号の記事≫
家作りの現場から〜古材を利用した住宅〜
サマーバケーションはハイジランドへ
家作りの現場から〜古材を利用した住宅〜
古材は不思議な力を持っている。例えば新築住宅に古い家具を置く時でも、古材を 使うと両者が違和感なく収まってしまう。これが新しい材料ばかりの空間となると、 こうはいかない。古い家具などは何ともみすぼらしくなってしまって、いたたまれな いことも多い。さように古材には、過去と現代、また東洋と西洋といった、差を越え る許容力というか、どんなものでも排除せず融合させてしまう力があるように思う。
年寄りも若者も一緒に生活する住宅をつくらねばならない時、この古材の持つ力は 絶大な効果を発揮する。家具備品ばかりでなく、人そのものも新旧ともに過ごせるか らや。新しいものばかりの生活空間では、いくらそれなりのオシャレをしても、まだ まだ日本の年配者は古い家具のごとく見えてしまうことも多いかもしれん。が、それ も古材が入ると味として生きてくるから不思議や。
最近生活の好みが非常に多様になってきて、現代的でシャープなデザインを誇る什 器や電化製品とか、旅行先で求めた小物などが家中に氾濫している御家庭も多かろ う。そういう場合にも古材はお薦め、物を求める時に選択の幅が広がること請合い や!少し話がそれるが、アジア有数のリゾート地、バリ島なんかこの辺の感覚が非常 にうまい。地元の古い素材や佇まいに西欧的モダンをうまく融合させていて、そこが ステキ!ってことになるんじゃろう。老若男女問わず絵になっちまうぜってね。
古材とはかように魅力のある材なんやが、どうも日本では新しいものが良くて古い ものは良くない、といった価値観があるらしい。本当は新しくても古くても、その魅 力を引き出すのは人の意識で、材料には何の罪も無いんやけどね。そんなわけで提 言。古材を含め、古民家などの中古材の市場を日本に成立させようやないか。そのた めにはまず、原価償却的な家の価値判断を覆すことや。現在の日本での建物価値評価 は新築時が一番高く、その後徐々に下がり続け、やがて限りなくゼロに近づいてい く。このことに誰も異論を唱える者がおらんせいか、いまだにそうや。
しかし考えてみ、おかしいやろ?建物が新築の時はまだいろいろ不具合が起きる可 能性が高い。少し生活してみて、具合の悪いところを手直ししていくことによって完 成度が高まるわけやし、材木なんかも基本的には強度が増してくる。手入れの程度や 材の劣化具合によっても違ってくるから一概には言えんとしても、新築時から一本調 子に価値が下がるというのは・・・おかしな話や。古民家など、百年も経ておれば、 おそらくその間に大きな地震にも遭ってるやろうし、その地の風土にも合うてきたこ とが証明されたようなもの、証明付きの品っちゅうわけや。住む人が年老いて、資金 的にも体力的にも大きな家を維持しにくくなった時、その家を誰かに譲って小さな家 に移りたくても、今の日本の住宅価値感の中では、住み替える資金に窮するし手入れ もままならん。文化遺産のような家もやがて消滅の道を歩まざるを得なくなる。
そこに新しい価値観で家の中古市場を成立させるとどんな風になるか。古民家など は体力や資金力のある人達や、それを維持できる人達にスムーズに譲れるような市場 が成立し、家を大切に暮らしてきた人達が次の家を求める時、売却によってその原資 が得られるようになる。そうすれば古いからと壊される古民家は少なくなり、何より も生活しながら日本文化遺産維持の社会貢献をしていることにもなる。先行きが危ぶ まれるような社会保障よりも確実な老後への備えとなるだろうし、循環型社会にも貢 献できる。また日常の維持管理の仕事は、地方の職人の技を無理無く伝えてゆける。 どや、ええやないか?
(株)藤原工務店
安藤瀞和
このコラムのコンセプト
自然体の暮らしの器として住宅を見るとき、意外と不合理なことがたくさんある。 しかし建築という特殊なものだからと深く考えずに見過ごすことが多い。 そんなことを自然体建築道の修行者の視点で愚痴る。
安藤瀞和(あんどうとろわ)のプロフィール
建築素浪人。自然体建築道の奥義を極めたいと修行に励んでいる。師はいない。
サマーバケーションはハイジランドへ
夏といえばバケーションの季節。会社でも誰かしら休みに入っているし、家の近くに あるハリウッドのチャイニーズシアター辺りなどは旅行者でごった返している。今年 の夏もぐずっていたらあっという間に8月になってしまい、それでも予定は立ってい ない。でも、どうしてもどこか行きたい!と思い立ったが吉日。思い腰を上げ、前々 から心の中で温めていた夏のスイスを実現させたのだった。
スイスには以前2度訪れているけれども、どちらも寒い雪の降る冬だったから、今回 こそはあのハイジが育ったような緑の草原や花が咲き乱れた風景が見れる!と出発前 から楽しみにしていた。いろいろ調べてみると、なんとハイジの舞台となった山が本 当にあるというではないか。どうせなら、そこにも行きたい!早速一緒にいくスイス 人のまるにアレンジしてもらい出発することになった。
スイス到着2日目の朝、時差ぼけなど物ともせず、まると彼のお母さんのシルビアと 3人で車に乗りこんだ。途中フリーウェイ沿いのドライブウェイみたいなところに立 ち寄りそこでお姉さんのプリスカ、彼女の旦那様のマイケル、息子オレルと犬のアイ シャと合流。車2台で山に向かった。チューリッヒからアルプスに向かって走ってい ると丘を何度も越えどんどんと山は険しく高くなってくる。スイスはやはりアルプス がそびえるところだからやたらトンネルが多い。そのトンネルと抜けると新しい風景 が出てきて湖もあちこちで見られ、夏の日差しが濃いブルーの水にきらきらと光って とってもきれい。チューリッヒから1時間半くらい走ったところで山の谷間を走るフ リーウェイを降り、山側に走り出した。「ほら、あれがハイジランドだよ。」とまる は指をさす。その方向をみると思い描いていたようなペーターやゆきちゃんの住む山 のふもとの村がある。その村の上にはペーターがやぎをつれて登った山があり、緑の 草が一面に敷き詰められ、なだらかな丘の上に寝そべって雲を眺めているハイジを想 像してしまうような風景があった。ああ、子供のころ毎日のようにかじりついて見て いたハイジの村だ。子供のころの思い出がこんな形で結びつくなんて思ってもみな かった。もう頭の中では、ハイジのテーマソングがぐるぐる状態だ。細い村道を抜け て山をどんどん登っていくと小さな駐車場が見えてきた。そこにはなんと大型バンが とまっていて子供のころ見ていたそのままのハイジ、ペーター、ユキちゃんのアニメ がデカデカと張られているではないか!私は感動のあまり車から飛び出し、そこまで 走っていってすぐに記念撮影をした。それを見たマイケルは典型的な日本人だね、と 私をみて笑った。
そこにはハイジのモデルとなったという古い木造2階建ての家があり、歴史館となっ ていた。ここまで来ることが出来ただけでも大満足な私だったけれど、せっかく来て いるのだからと中も見学することにした。小学校途中まであった古い木造の校舎を思 い出させるこの2階建ての家。ここで面白いとおもったのがトイレだ。2階の小さな 部屋の中に木の台がありそこには小さな穴が二つ空いている。どうやらそこにおしり をおいて用を足していたらしい。穴から下を覗いてみると水が張られたスペースがあ り、そこからどこかに流れる仕組みになっていたのだろう。でも2つ穴があるという ことは2人が隣同士に座って一度に用を足せたということなのだろうか?
隣にあったお土産屋さんに入ってみるとなんと日本のハイジのビデオや日本語で書か れたハイジの本やらがいろいろ販売されていてびっくり。やっぱり日本人のハイジ好 きは有名なのだろうか?そう思っているとまるが私をつついていった。「あの人、日 本人だよ、きっと。声かけてみたら?」思い切って声をかけてみると、セミナーか何 かでチューリッヒに来ていて1日ツアーでやってきたという。こんな都会から離れた ところだから、私みたいに現地に知り合いがいないととても遠くて大変だろうなあ、 と思ったが日本人はスイス=ハイジというイメージが強く、どんなことをしてでも来 るようだ。でも、ハイジは山の上に住んでいたんじゃなかったっけ?と思っていると プリスカが「ハイジの家はもう一軒山の上にあるんだけど、そこは1時間とか1時間 半くらい歩かなきゃいけないらしいの」といった。きっとそこはおじいさんと暮らし たあの小屋みたいな木で出来た家なのだろうなと思いをめぐらせた。でも、その日は 30度をゆうに越える暑さで、日陰にいても暑いくらいだったから、結局暑さには勝 てずここで記念撮影をして、あきらめることにした。
予定していたハイジランドを十分に楽しむことが出来て、今回のスイス旅行は大満足 に終わった。旅行好きな私はどこかへ出かける時は出来るだけまず「現地人をつかま える」ことにしている。現地人はやっぱり情報量が違うから旅が3倍は楽しくなるの だ。今回はスイス人のまると彼の家族や友人がいろいろと計画を立ててくれたものだ から、短い間で多くのことを体験出来き、滞在歴3回の中では一番の思い出となっ た。また、今回は前に訪れた時より多くの人が英語で話し掛けてくれたのも私の旅を スムーズに運んでくれた要因のひとつだと思う。チューリッヒではドイツ語を話すけ れども、もともとスイスの公用語は4つなのでみんな少なくとも3ヶ国語くらい話せ る。多い人だと5−7ヶ国語という素晴らしさ。1ヶ国語しか話さない日本人にして みればまさに神業としかいいようがないが、こんな彼らをみていると強制的に英語を 習わされている日本人ももうちょっと話せるようになってもいいんじゃないかなあ、 と思わずにはいられないのである。とにかく、スイスは食事も日本人の口にあうか ら、是非機会があったら夏にいくことをおすすめする。
シャンディ
シャンディのプロフィール
兵庫県姫路市生まれ。卒業と同時に子供の頃からの夢であった海外生活をスタート。
オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、フィジー生活を経て、現在アメリ カ、ロサンゼルスで暮らす。
外国生活の中で日常の出来事を中心にエッセイを筆記。
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