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ウエッブジャーナル日本海 通巻42号[2003/12/20]
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≪今号の記事≫
  • 家作りの現場から〜時代に対応する〜
  • ボランティア天国のアメリカ


  • 家作りの現場から〜時代に対応する〜

     時代の発展のスピードが早過ぎる。次の時代に対応しようと思っても老体には不可能に近い 速さで走り抜けていく。自然体建築の道を極めようとヨロヨロさまよう輩の横を、あざ笑うか のように、通信もエネルギーもサービスも猛スピードで変化し、追い越して行く。もう、この スピードに対応できるのは若者だけや。年寄りには無理かもしれん。日本は若者の国にならざ るを得ん・・・と、つい弱気にもなりかねん。

     この年寄りの弱気にますます拍車をかけるのが、どの分野でも大活躍のITや。デジタル・ デバイド、とかいう言葉もあるらしいが、わしらの周りではやっぱりデジタル・コンプレック ス、これが合うとる気がする。弱気がやたら蔓延し、ベテランから若者へ誇りをもって築いて きたものを伝える場が失われ、道が教え難くなる。結果、魅力的な大人像の消失、といったこと になってはいないだろうか。それでという訳ではないんやが、昨今とみに普遍的なものを求め ようとしがちになる。歳かねぇ・・・。

     家の変化もめざましい。「家はテクノロジーです」と宣伝するハウスメーカーまで出てくる 始末や。やれインテリジェント化住宅、やれソーラーハウスと、まるで研究所でも持たんと時 代にふさわしい家づくりができんような気になってしまう。あわれ安藤瀞和、志、道半ばにし て撃沈す、か?  その昔、田舎の家の大半は職住同居であり、寝食は蚕や牛・鶏といった家畜や田畑を耕す器 具類などと一緒やったし、燃料は近くの里山から得ていた。そのことを考えると家をインテリ ジェント化してオフィスとすることも、ソーラーパネルを上げて電力を得たり燃料電池を設置 することなども、目に見える形こそ変化しているが、同じようなことと言えるのかもしれん。 職住一体でエネルギーも自前で調達するわけや。家事や産業の形態が劇的に変化を遂げていっ た延長戦上の進化ともいえる正当な方向やろう。

     しかしここで思うのは、そうなると「家」の役割はどうあれば「正しくある」のか?という ことや。難しく聞こえるかもしれんが簡単に言えば、築後何百年もなるような家は新しい時代 には家として機能するのかしないのか、という疑問や。新しい時代に適合できないならば「家 はテクノロジーです」は正しい見識と言わねばならん。それならば逆に「百年住宅」なんぞと 宣伝する輩は詐欺または誇大宣伝で、「JAROに相談したらどうジャロ」ってことになって しまう。  インターネットやエネルギー環境の変化で生活全般は確実に変化する。その時受け皿となる 住宅はどうあるべきなのか、また時代を越えて良好な居住性が保てる住宅のつくり方とはある のか、無いのか?

     答えは人によって違うじゃろう。しかし家をつくり出す立場に身を置く者の想いとしては、 なるべく永く愛されてほしい、役に立ってほしいと願って送り出すわけや。そのためには家が 消耗品のごとく短いサイクルで機能不全となっては困る。時代を超える「家」の持つ普遍性が あるに違いないと夢を見、求めるんや。  そういう意味で「民家の再生」などは好ましい。再生された民家が「現代生活の器」として 機能するばかりでなく、それ以上に愛されている姿を目にするとき、我が進むべき道が見える ような気がする。
    家は時代の消耗品か、否か。

    茅葺職人も年々見つけにくくなる。
    (株)藤原工務店
    安藤瀞和

    このコラムのコンセプト
    自然体の暮らしの器として住宅を見るとき、意外と不合理なことがたくさんある。 しかし建築という特殊なものだからと深く考えずに見過ごすことが多い。 そんなことを自然体建築道の修行者の視点で愚痴る。
    安藤瀞和(あんどうとろわ)のプロフィール
    建築素浪人。自然体建築道の奥義を極めたいと修行に励んでいる。師はいない。


    ボランティア天国のアメリカ
     この冬アメリカではインフルエンザの大流行になるのでは、と騒がれているが私も早 速この間ものすごいインフルエンザにかかってしまって、十何年かぶりに39度近い 熱が出てしまった。3日くらい熱が引かず、熱があると体も痛いしで、結局週末も含 むと5日間も何もできずに過ごしてしまった。

     体調が悪くなって風邪など引いてしまうとこれでもか、というくらい普段取れない睡 眠をとることが出来るけれど、そのうち何もしない生活に慣れていないせいか、やっ ぱり飽きてくるのである。雑誌くらいならまだしも活字の詰まった本を読んでいると すぐに車の中で本を読んでいる時みたいに気持ち悪くなってしまってそれも出来な い。仕方なく毎日寝るかテレビの前にかじりつくかの生活を強いられてしまった。

     私はフードチャンネルと呼ばれるクッキングやレストランなど食に関するケーブル チャンネルが大好きでよく見ているのだが、今回もほとんどこれにかじりついてい た。サンクスギビング前だということもあり、どの番組を見てもターキー(七面鳥) のオンパレードで、どうやったらおいしく作れるのか、家の秘伝のスパイスはこれ、 といった具合に競い合ってレシピを紹介していた。その中でもひとつ興味深い番組が あった。それは、テイラー・フローレンスというイギリスシェフで有名になったジェ イミー・オリバーのアメリカ版といったようなカッコいいおにいちゃんが出てきて、 サンクスギビングの日に仲間とボランティアに出かけ身寄りのない浮浪者たちに七面 鳥のディナーを作ってあげるというものだった。アメリカには身寄りのないホームレ スの人達が集まれる施設が街のあちこちにあって、そういう施設や教会などが彼らに 向けて無料で食事を提供したりするのである。それにテイラーと彼の友人3人が参加 して、キッチンで作る様子から施設へやってきた人達にディナーを振る舞い、楽しく 食事をする風景までが映し出されていた。

     最近のアメリカは戦争と大悪評を食らっているブッシュ大統領のおかげで世界中で ブーイングを受ける国のイメージがすっかり定着しまったのが残念だが、こういうボ ランティア精神が地元にも密着しているところはすばらしい。ボランティア関連の ウェブサイトも充実していて、郵便番号を入れると家の近くだけでも約1000件ものボ ランティアの募集が検索できた。子供たちのリーダー役のお姉さん、お兄さんの募集 から、赤十字、老人ホーム、アジア系やイスラム系、ユダヤ系などあらゆるエスニッ クコミュニティーのヘルプ、企業が行うボランティア活動に参加してくれる人、精神 的に問題がある人達の話し相手になってくれる人、また募金を集めるためのイベント を手伝ってくれるスタッフなど挙げるときりがないくらい様々なボランティアがここ には存在する。また、参加する人も気軽に参加するらしく、この間友人が非営利団体 が行っている放送局のボランティアに参加しようと連絡を取ったところ、2ヶ月も前 にボランティアがいっぱいになってしまってすでに受付を終了してしまっていたらし い。

     この間日本のニュースで50代の女性と60代の男性カップルが自殺したとの記事を読ん でびっくりした。事業が失敗し200万円が返済できず行く所がなく警察などに保護を 頼んだが、他県の人を面倒みるなんてもってのほかと500円を手渡されただけで追い 返され死を決意した、という遺書が警察に届けられたという。いまどき500円なんて バス代にもならないはずだ。それに他県人だとそういう施設さえも使わせてもらえな いのか、と人権よりもどこかに所属していることを優先する扱いには驚いた。アメリ カのこういう施設や教会では生まれた州や国さえも関係なく食事や臨時で宿泊する場 所、カウンセリング等を提供してくれたりするのである。テイラーが行ったボラン ティアの場所で七面鳥にありつけたある男性はこう言っていた。「僕は一度刑務所に 入っていたから家族も親戚も身寄りはもう一人もいないんだ。僕みたいな人を暖かく 迎えてくれるここみたいな場所がなかったら、今ごろ僕はどうしていたかわからない よ。ホントに感謝している。」

     今の日本は平均寿命は80歳などと言われているのに、仕事の年齢をいうと35歳でぐっ と仕事が減り、50歳を超えると再就職は超難関。こんなことじゃ人生はやり直せない し、みんなどうしているのかとホントに不思議だ。アメリカのいいところは、人生で 途中失敗をしても、やる気さえあれば人種や年齢、性別に限らずいつでもどこでもや り直しができるところだ。また、そういう人達をバックアップする団体やコミュニ ティーが存在する。きっと日本人だってそうなって欲しいと願っていると思うのだ が、社会構成はまだ追いついていないような気がしてならない。日本もやっと景気が よくなってきている、というけれど具体的政策が打ち出されていないのでこれから もっとひどくなるという予測もある。そんな時、心まで貧しくならず、余裕のある人 は少しでもボランティアに参加したりお世話になった回りの人の手助けをし心のLOVE の補給をしてほしい。そろそろクリスマスがやってくるが、私も今年お世話になった 人々に感謝し、また来年がいい年でありますように、と心から祈るのであった。
    シャンディ
    シャンディのプロフィール
    兵庫県姫路市生まれ。卒業と同時に子供の頃からの夢であった海外生活をスタート。
    オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、フィジー生活を経て、現在アメリ カ、ロサンゼルスで暮らす。
    外国生活の中で日常の出来事を中心にエッセイを筆記。



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