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ウエッブジャーナル日本海 通巻48号[2004/03/21]
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≪今号の記事≫
  • 家作りの現場から〜ローコストの功罪〜
  • You are fired! (お前は首だ!)


  • 家作りの現場から〜ローコストの功罪〜

    クロスは貼らない!  住宅のローコスト競争が激しさを増しているようや。大量生産、大量流通、これらをシステマティックにして値段を下げることにその道を求める者が多い。現在の社会状況としては間違った方向ではないと思う。住宅産業といえども「良い品をより安く」はいつの時代も大きな課題なのやから。
     このようなローコスト化はプレハブ住宅に代表されるような、大量生産、大量販売されるシステムの中で造られる住宅には有利な点が多く、それを求める条件が整っている人には問題が無いかもしれん。が、そうではなく土地が狭小であったり個性的な住宅で暮らしたい人がローコスト住宅を求める時はこのシステムは機能しないんやね。大量生産品を使ってしまうとどうしてもその供給システムの下に置かれてしまい、供給能力の差がコスト差に結びつく。対抗するには他の価値観でローコストを実現せなあかんというわけや。

     ところで最近、ファーストフードに対してスローフードという風に、スロー○○○という言葉を耳にする機会が多くなってきた。時間・経済的効率を主眼においた従来のサービスを、その中身・質へと価値感の重心を移したものに替えていこうということやろうが、そう考えると住宅の「ローコスト」の意味も様変わりするのと違うやろか。
     住宅を買った時の値段だけでなく、耐久性やランニングコストなども含めた中で価値を見直し、トータルローコストを実現しようといった動きもその1つかと思う。但馬地方の古い農家では良く見られたんやが、外壁の仕上げがしてなかったり、2階の内装が完成していないままの家で堂々と暮らしていた。これや!!

     住宅の全ての部分が完成していなくても、自分達の工夫で今の暮らしは充分確保してみせるわぃという家族には是非お薦めしたい。コンクリートの打ち放し住宅に住める感性をお持ちの人ならば充分楽勝。
     若い御夫婦の家族ならば子供の成育が早くて、住宅の使い勝手はいつの時点でもなかなか満足のいくものではないように思う。それならばそんな変動の激しい時期に住宅を完成させてしまわず、いわば未完成のまま住まう技。壁や屋根裏を下地のままでも美しく演出し、子供達が巣立つようになるまでは創造性あふれる工夫とアイデアで乗切り、そろそろ間取りも安定するなと判断できる頃にソロリソロリと総仕上げで家の完成に向う、そんな家もええやないか。ま、一生未完成のままでもええし、基本的には住宅とはそんなもんかもしれんのや。
     このようなローコスト住宅の建て方を、わしは勝手にハーフメイドと呼んでおる。住宅の完成度が中途な時点で住み始める方法や。全てを完成させると坪単価60万円の家を坪40万円の完成度の時点で入居し、あと20万円分は暮らしながら自分達でつくったり、後になって資金が用意できるようになってからつくる。そうすると住宅の最終グレードは高いものとなるし、少しでも早い住宅取得が可能となる。そして何より、個性的な家ともなる。

    壁もキャンバス  しかし、ここまで大量生産による製品供給のシステムが確立されてしまっていると、そんな要望をかなえてくれる大工さんなんているのかしらん?と御心配の方もあろう。ならば今はやりのスロー○○○という言葉を餌に御近所の大工さんに話を向けてみてはどうかな。
     家を建てる話でなく「スロー○○○」の話の中でそれとなく大工さんのポリシーを探り出すというわけや。何人かの大工さんと話すうちに気持ちの通じる人に必ずめぐり会える。現在の単価競争の果てのローコスト住宅の現状に、仕事師として決して満足していない大工さんや職人さんのぼやきは世に満ち満ちているのやから。

    (株)藤原工務店
    安藤瀞和
    このコラムのコンセプト
    自然体の暮らしの器として住宅を見るとき、意外と不合理なことがたくさんある。 しかし建築という特殊なものだからと深く考えずに見過ごすことが多い。 そんなことを自然体建築道の修行者の視点で愚痴る。
    安藤瀞和(あんどうとろわ)のプロフィール
    建築素浪人。自然体建築道の奥義を極めたいと修行に励んでいる。師はいない。


    You are fired! (お前は首だ!)

     日本の失業率も戦後最大といわれるほど高くなっているけれど、アメリカもITバブル がはじけて以来もう4年くらい不況が続いていて、全然人事ではないのが実情だ。 国内の失業率も6%を突破し、やっと5%台に戻ってきたが、これも1年以上仕事がなく あきらめてリタイア組みになったり、家庭に入ることを決めた人達が仕事を探してい る組から外れたために下がった数字だと言われている。

     私を含めこの数年に仕事を失って再就職をした人は数え切れず、どの会社に移っても 経営がどんどん悪化し、その度に年に何度も就職、失業を繰り返している人だって当 たり前の世の中なのだ。こんな時代だから、いつ誰がオフィスから消えるのかいつも ドキドキハラハラで深刻になりがちだったところ、ビジネスの基本とはこうだ!と見 せ付けるすごいテレビ番組が登場した。

     この番組ではニューヨークの不動産王、ドナルド・トランプのもと、アメリカンド リームを勝ち取ろうという頭脳明晰、行動派の16人の若い男女がトランプ所有会社の 社長の席を巡って熱い戦いを繰り広げる。この16人はなんと20万人の中から選ばれた ツワモノばかり。彼らのバックグランドは様々で、高卒だけれども自分でビジネスを コツコツ築き上げてきた人からレストランオーナー、一流投資会社のトレーダー、 ウォールストリートで仕事をするエリート、MBA持ちのホワイトハウスインターンと 幅広い。これだけ聞くと、高卒の小さな会社を持ってるくらいじゃ勝てっこないよ、 と思いがち。でもこんな彼らが勝負するのは、なんと言っても会社の第一目的である 利益!と人間関係の二つ、と結構シンプルなのだ。この社長の席をゲットすればなん と年棒250,000ドル(約2700万円)を獲得できるとあって、結構本音の戦いが見える のが面白い。まずは友好関係を築こうとする温厚派から私はあなたを蹴落としてでも 社長になるのよ、と真正面から戦う人までいて、人間ってお金が絡むと怖いなあ、と 思わされるのである。

     毎回2つのチームに分かれ、トランプから課題が出される。これをもとに利益を出し たほうのチームが勝ちで利益の少なかったチームの中から一人、トランプ直々首!を 言い渡されるのだ。思わず自分が同じ課題を出されたらどのように行動するのだろ う、と考えながら見てしまい結構スリルが味わえる。不動産王の目に叶った人を選ぶ わけだからどんなにすごいことをするのだろうと見ていると、これが結構シンプルな のだ。第一回目は初心に戻ってということで、ニューヨークの街中でレモネードを売 ることだった。朝課題を言い渡され、夕方5時までにどれだけのレモネードを売って 儲けを出せるか、を競い合うのだ。なーんだ、こんなことくらい俺にだって出来る よ、という人がほどんとだろう。でも、エリートコースを進んできたような人がホン トにある日突然道端にでてひとつ1ドル2ドルのレモネードを売れるだろうか?人通り の少ないところでどうやってセールスをかけるのか?仕入れは?レモネードってどう やって作るの?なんて人もいるだろう。そんな中でもあるチームは10万円以上の利益 を上げたのだからすごい。

     他にも課題で出された商品をどれだけ定価より安く買うかというような交渉力を試さ れたり、古くて汚いアパートをどれだけの付加価値をつけて高く貸すことができるか など、かなり基本的なことがテーマとなっている。

     今はやっと中盤に入ってきたところでまだまだ先がどうなるのか楽しみだけどれど も、この番組はMBAのイントロダクションのようなものなのではないかと思う。学校 を出ると誰もが企業に入ってお給料をもらうもの、と思っている人もまだまだ多いだ ろう。でも、結局は企業も利益がなければお給料も出せないわけで、能力のない人や 利益を得るために協力的でなかった人はどんどん首を言い渡されるのである。でも、 この番組のいいところは利益ももちろんだが、自己中心的な人やあまりにも変わり者 で性格が激しく人もどんどん排除されるところだ。才能があるのかも知れないけれど も、一人で成し遂げるよりもやはりみんなで一丸となって行うときの方が達成できる ことも大きいし、また満足感もまた大きい、というところをみせてくれるのである。

     やりたい仕事がない、失業してしまったという人、明日からレモネードといわず、熱 いお茶でも道端で売ってみます?結構なビジネスになるかもしれませんよ。この番組 はすでに第二弾が予定されているらしいけど、日本でもソフトバンクを作った孫氏な どを筆頭にテレビ番組にすると出演したいという若者が集まって日本の景気回復に貢 献するのでは?と思うのは私だけでしょうか?いや、日本でも大受けすること間違い なしです。

    シャンディ
    シャンディのプロフィール
    兵庫県姫路市生まれ。卒業と同時に子供の頃からの夢であった海外生活をスタート。
    オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、フィジー生活を経て、現在アメリ カ、ロサンゼルスで暮らす。
    外国生活の中で日常の出来事を中心にエッセイを筆記。



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