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ウエッブジャーナル日本海 通巻50号[2004/04/20]
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≪今号の記事≫
  • 家作りの現場から〜棟梁がいなくなる〜
  • 肥満大国、アメリカ


  • 家作りの現場から〜棟梁がいなくなる〜

    墨付けする棟梁  棟梁と大工は同じだと思っている人は多いかもしれんね。一般の感覚からみればそうかもしれんけど、違う。オーケストラに例えれば指揮者にあたるのが棟梁で、各楽器の奏者が大工さん一人一人ってとこか。指揮者が作曲家の楽曲をイメージしその情景や心情を表現するように、建築図面に込められた意味や表現を大工に指揮しながら設計者の意図に近づけていくのが棟梁の役割や。単にノミやカンナが使えるだけでは棟梁の役は務まらん。
     だからこそ歴史上有名な棟梁は、芸術的センスや数学的知識に優れた博識が多かった。大工技能の修行はもちろん、数奇屋や社寺建築に携わるには数多くの決め事などにも明るくなければ仕事にならないことを思えば当然のことや。

     在来木造工法と呼ばれ、日本の至る所で大工さん達の手仕事で建てられてきた家が最近コンピューターと連動した機械でウィーンと刻まれ、建てられるようになってきた。プレカットと呼ばれるものじゃ。建前(棟上)までの加工の部分がこの工場でのプレカットに取って変わられつつある。人件費削減、後継者不足が危惧される今日では必然ともいえることや。悪うなかろう。
     しかし、しかしや!このことが棟梁の持つ基本的な技術を伝えられんようにしてしまう可能性をもっているんや。「墨つけ」といって図面を理解した棟梁が、木の組み方や加工の方法を考え材木に記入し、多くの大工に指図する大切な技術や。プレカットではこれをコンピューターが行い機械に伝え、寸分の狂いなく刻んでしまう。木の刻み方や方向など細かな点がベテラン大工の技には及ばないのはともかく、図面を読んでそれをみごとな木組みに置換えていく棟梁の能力、技が風前の灯火となってしまっておるんじゃ。
     アメリカではフレーマーとかモルダーとかいって、フレームを作る職人や内装の職人など細分化・専門化されているそうや。日本でも効率第一の建て方を要求されるようになってきたから、大工さんといってもボード張り専門や既製品の取付専門の人も増え、一日何uとか何mといった稼ぎを競う状況になってしまうのも無理もない。

     けれども日本古来の技で、柱や梁の組合わせの妙を見せてくれるあの見事な空間は、棟梁の想像力、知識そして墨付けの技術なしには構成できんのじゃ。日本文化が今よりも更に大切に扱われるに違いない将来、そのような空間を保持しようにも技術を持つものが誰もおらんことになっちまわんやろか。おっても、伝統工芸士なんぞといった冠を付けられる貴重品扱いを受けるようなことではかなわん。ごく普通の、親しまれる技術として繋いでいってもらわねば困るんや。
     パリ万博で世界を驚かせた日本の建築技術の指揮者、棟梁が、効率最優先の時代の狭間で消えてしまいそうや。オーケストラの指揮者が今も健在に活躍する場があるように、日本の木造建築の名指揮者、棟梁はきっといつの時代でも必要なはず。建築は凍ったシンフォニーなのやから。

    (株)藤原工務店
    安藤瀞和
    このコラムのコンセプト
    自然体の暮らしの器として住宅を見るとき、意外と不合理なことがたくさんある。 しかし建築という特殊なものだからと深く考えずに見過ごすことが多い。 そんなことを自然体建築道の修行者の視点で愚痴る。
    安藤瀞和(あんどうとろわ)のプロフィール
    建築素浪人。自然体建築道の奥義を極めたいと修行に励んでいる。師はいない。


    肥満大国、アメリカ

     アメリカ人は大きい!というイメージを持つ日本人は多いと思うけれど、実はほんと にスーパーサイズというくらいでかいのだ。どのくらい大きいかというと、大人の3 人に1人は太りすぎ以上、もしくは肥満か深刻な肥満病であり、この数はざっと1億 2000万人を超えるという。この人数、なんと日本の人口とほぼ同じなのだ。おじいさ んから子供、近所のお姉さんから赤ちゃんまで日本列島総肥満、と考えると数的には 正しいことになる。でも、日本中が肥満だったら、日本列島が沈んでしまうのでない かと不安になるのは間違いない。

     運動嫌いなアメリカ人とか車社会がいけない、しまいにはアメリカ人はみんな怠け者 だからだ、などと色々なアメリカ肥満説があるけれど、私は絶対に食生活にあるとみ た。アメリカを旅行したことのある人なら体験したと思うが、なにせ何を食べてもサ イズもカロリーも半端じゃないのだ。ハンバーガーだって日本のハンバーガーのひと まわりもふたまわりも大きいし、レストランのメニューを見ても、前菜と書いてある からといって、これって量少ないよね、なんて勘違いしないほうがいい。前菜といっ ても日本のレストランからすれば十分にメインコースに匹敵するほどのボリュームだ から、日本人のお腹には丁度いいサイズなのだ。それをアメリカ人は前菜は前菜、メ インはメイン、それから甘いデザートにコーヒー、と延々と食事を続けるのであるか らそりゃ大きくなるはずだ。

     こんな食事を毎日しているから太るのはしょうがないよね、とアメリカ人を非難ばか りしているが、実はアメリカに住む外国人である私達にもいとも簡単にこの食文化は 溶け込んできた。私の友人や知り合いのなかでアメリカに来てからやせた、という人 は誰一人として聞いたことがないのだ。私はアメリカへやってくる前から欧米諸国の 食事になれていたせいか、渡米してからの数年はそれほど体重も急激に増えなかっ た。それでも次第に一切れほど食べればもうお腹いっぱいだったはずの大きなピザも 半分くらいぺロッと平気で平らげてしまうようになり、ハンバーガーの半分をランチ に食べるともうお腹がいっぱいだったのが、今では1個食べて、さらにはスーパーサ イズのフレンチフライも一緒に胃の中に入れてしまえるほどとなった。当然、この食 事傾向と比例して私の体重は見る見るうちに増えていったのは言うまでもない。まる も以前はヨーロピアンらしく細かったけれども、今ではすっかりアメリカンになって しまった。それは、多くの友人に共通することであり、みんな彼らなりにスーパーサ イズと化してしまった。

     そんなアメリカでは、言うまでもなくダイエット産業が盛んだ。ありとあらゆるダイ エットがここには揃っているといっても間違いはないけれど、そんなダイエットの中 で、最近アトキンズというダイエットが大注目をあびていて、テレビのコマーシャル や雑誌の広告までもお目にかかるようになった。

     このアトキンズ式ダイエットは食事法によって体重をぐっと落とすというものだが、 この食事法は誰にでもとてもわかりやすく、とにかく摂取するカーボ(炭水化物)を 減らして、プロテイン(たんぱく質)を多くとることに徹してさえいればいいという ことで爆発的な人気となっている。

     友人の加奈ちゃんはアメリカ食にすっかり慣れ親しんでしまって、渡米して数年で あっという間にアメリカンサイズになってしまった。もともと運動することに興味の ない彼女は、それ以外の食事制限などでダイエットをするほかなかったが、ロサンゼ ルスにはおいしいものがいっぱいあるからなかなかそれも出来ない。そんな加奈ちゃ んが1年ほど前、このアトキンズがいいらしいと聞きつけ、早速始めたのだった。と にかく多くの肉や魚と野菜さえ取っていればいいというのである。「ねえ、カーボっ てさ、お米とかラーメンとかうどんとか、そうそう、パスタやパンも食べちゃいけな いの?」加奈ちゃんは「そうよ、全部だめなの。ポテトなどもだめなのね。でも、肉 や野菜とか、生クリームなんかも全然平気なんだよ。」とあまり苦にはなってはいな いらしい。毎日肉をあんなに食べるのに、ホントに結果がでるのかと私は疑った。 が、3ヶ月くらい続けた彼女は見る見るうちにやせて綺麗になっていったのである! あんなに何年もやせることの出来なかった彼女がぐんとやせて引き締まってきて、や せると自分に自身がついたのかカッコいい洋服を着るようになり、彼氏も出来るし で、前より随分と幸せそうになっていた。「でもさ、日本人なのにお米とか食べたく ならないの?」と聞く私に「最初の数週間はちょっとつらいけど、でもなければない で平気になっちゃうんだ。それに体重が落ちて体が軽くなって肌の調子もいいの。」 と軽く答える加奈ちゃんであった。

     医学的にはいろいろな論争を巻き起こしているこのアトキンズ式ダイエットだけれど も、ほんとにカーボをとめただけであんなにやせるなんて、人間の体の中で起こる化 学反応はすごい、と思わずにはいられない。最近はアトキンズ用のパスタとか小麦粉 とかアイスクリームまでが売り出されるようになったのも驚きだ。ハンバーガー屋さ んにいっても、なんとアトキンズ用のパンなしのバーガーまで作ってくれるという徹 底ぶり。日本に帰るたびに日本人ってどうしてこんな小食なのかな?ほんと細いな あ、と思うくらいだから、アメリカ人と比べるとこのダイエットが必要な人は少ない はずだけど、ちょっと試してみたいという人は、ご飯の量を減らすとか麺類を控える といった簡単な制限をしてみるだけでも効果が期待できるかも。でもご飯や麺類を主 食とする日本人には超きついダイエットであることは間違いない。カーボ食品大好き の私には到底出来ないダイエットである。
    シャンディ
    シャンディのプロフィール
    兵庫県姫路市生まれ。卒業と同時に子供の頃からの夢であった海外生活をスタート。
    オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、フィジー生活を経て、現在アメリ カ、ロサンゼルスで暮らす。
    外国生活の中で日常の出来事を中心にエッセイを筆記。



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