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≪今号の記事≫
家作りの現場から[最終回]〜郷土の未来戦士〜![]() もう随分と昔になるけど子供の通う小学校が改築されることになった。どんな学校施設が好ましいか自分たちでも考えようと、PTAが主体となって要望をまとめることになり、ワークショップといって、さまざまな意見を取り込みやすい手法で進めようとしたんや。楽しい夢のようなものや、突拍子もない意見まで、子供達の将来にふさわしい夢いっぱいの意見がたくさん出てくることを期待しておったんじゃが・・・。 学校の施設設備についての意見はたくさん出てくる。ところがどんな子供たちに育ってほしいからというところについての議論がされたという記憶はない。それどころかたくさんの想いを出してもらう誘い水にとあらかじめ用意した漫画には、用水路から引き込んだ小川や、校門から通用口への道沿いに実のなる木を描いたため、地元の水利組合からは「漫画といえども、あんたら誰に断わって!」と苦言をもらい、先生からは「漫画に描かれた果樹から落ちた実や、葉は誰がどのように手入れされるつもりでいらっしゃるのでしょうか・・・」と、やんわりと管理責任への配慮の欠落を示唆され、無用意・無責任な想像は漫画といえども許しませんとばかりに、想いとは逆の呼び水効果を招いてしまった。 家でも施設でも、建物というもんは目的を叶えるためにあると思う輩には、「学校はカクカクシカジカ将来このような人物に育ってもらうためにも、このような環境とこのような施設が必要なのです」といった大勢の「想い」を束ねたかったもんやから、「夢」や「楽しさ」などという気楽なところから始めようとしたんやが・・・甘かった。 育つ子供の将来像に議論を向け、やがてそこから理想とする学校施設像を浮かびあがらせようとした意図に反して、施設の「管理のし易さ」や「責任の所在」などという極めて現実的な話が出ては、「漫画」はいかにも「責任のない者の軽率な企画」という惨めな形を晒してしまったんじゃ。 その時考えさせられたんやが、本来、学校教育の目的は何やったのか?高学歴社会といわれる今日、進学や就職の条件整備の一つとして捉えたりする意見にも違和感を感じなくなってしまっているが、何か違わんか? 本来の学校の持つ意味は、地域で暮らしを営む人々がそれぞれの稼業を引継ぎ発展させる、いわば地域の未来を託す人材として育ってもらうために、新しい学問や見識を備えてもらう場として整備・期待されてきたのではなかったか。豊かな暮らしを実現するために地域間競争、企業間競争を戦い抜いていくタフな担い手として育ってもらうことが目的ではなかったか。いわば地域の未来を背負って戦う「郷土の未来戦士」を育てることが・・・。 そのためには最新式の設備も環境も必要や、他所に負けられんから設備も一流を揃えてやってくれと言うんやったらまだわかるが、施設の「管理し易さ」を第一に求める心情の底にあるものは何なんやろう。 そんなこんなでワークショップの中でこう呼び掛けたんや。
郷土の未来戦士たちへ
と。
「子供たちは未来からの預かりもの」と言った人がいました。だから親の思惑通り育て上げるのではなく、その子にふさわしい未来への道を用意してあげるのが親の役割だというのです。
・・・中略・・・
たとえ一度は都市へ出ても、やがて帰ってきてこの地方の未来を切り拓いてくれる。そんな郷土愛に満ちた子供達に育ってほしいと思いませんか。その力は未来から預かっている子供達の中にこそあるのです。子供達は郷土の未来を担う戦士なのです。 私たち過去から歩いて来た者は、この地方にある数多くの情報(風土・習慣・気候・植生・行事・遊び等)を彼らに伝える「語り部」で良いのではないでしょうか。彼ら未来戦士のためにも、私たちはもっと自分たちの郷土の魅力を知り、多くを彼らに伝えるべきではないでしょうか。それができれば、この地方も特色のある地方都市として世界に誇れる街に、いつか彼らが導いてくれるのではないでしょうか。 彼らがその未来への第1歩を踏み出す「○○小学校」こそ彼らの航空母艦となる施設なのです。未来を予見するデーター機器やレーダーも他所の航空母艦に劣るようなものではなりません。あてがいぶちの航空母艦では戦士は戦えません。未来の戦士の為に秘密兵器のいっぱい詰まった魅力ある施設(学校)をみんなで考えましょう。 さぁ、応えが返ってきた!「戦士とか戦うとかいう表現は今ひとつ・・・」
このコラムのコンセプト 自然体の暮らしの器として住宅を見るとき、意外と不合理なことがたくさんある。 しかし建築という特殊なものだからと深く考えずに見過ごすことが多い。 そんなことを自然体建築道の修行者の視点で愚痴る。
安藤瀞和(あんどうとろわ)のプロフィール
建築素浪人。自然体建築道の奥義を極めたいと修行に励んでいる。師はいない。 |
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