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ウエッブジャーナル日本海 通巻62号[2004/11/25]
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≪今号の記事≫
  • 日本人には新しいアメリカの味、チリ


  • 日本人には新しいアメリカの味、チリ

     アメリカの味、というとみんなは何を思い出すのだろう。アメリカに住むまでは 「アップルパイとステーキ、ハンバーガー」くらいしか知らなかったような気がす る。その後アメリカに住み始めてからはこれに「ホットドックとバーべキュー」が加 わった。というのも、アメリカ人に招待されると決まってバーベキューだからだ。そ れもステーキなどを焼いてくれる場合は超ラッキーで多くの場合はホットドックとハ ンバーガー、サラダくらいなものなのだ。ロサンゼルスでは外国人や2世、3世の人 も多いから様々な国のおいしいものが勢ぞろいで、アメリカ食ばかり食べなくてもい いのが救われているが、最近新しいアメリカの味を発見した。

     友人のアンドリューがもうすぐアリゾナに引っ越してしまうのでディナーに招待して くれるというではないか。またハンバーガーかバーベキュー?と冗談っぽくきくと 「僕の得意なクッキングはコーンブレッドとチリなんだ。」という。チリと言えばよ くホットドックにのっているミートソースのようなドロッとしている食べ物で、あま りおいしくないというイメージがある。それにトウモロコシの粉で作るコーンブレッ ドもメキシカン料理に出てくるけれども、本当のところ、あんまり好きではなかっ た。でも、アンドリューの彼女曰く「彼のコーンブレッドは世界一!」というし、も ちろん断るなんてとんでもないので、訪問することにした。

     彼の家に着くと、すでにテーブルがセッティングされていて、焼き立てのコーンブ レッドの匂いでいっぱいのキッチンが私たちを待っていた。「すごーい!買ってくる んじゃなくて、自分で作ったの?」私自身クッキングが大好きだし、多くのアメリカ 人は料理しないと信じていたので、これだけでも招待してもらった甲斐があったとい うものだった。また、コンロをみるとそこには作りたてのチリがまだグツグツ煮立っ ていた。これもすごく食欲を掻き立てる匂いがするではないか。私はこのような手作 りのアットホームな雰囲気が大好きなのですっかりいい気分になってしまった。それ でも見た目と味が違うということだって多いに考えられることだし、食べることにか けては私も私の彼もうるさいからホントのところはどんなものか、と思っていた。

     テーブルにつくと日本人二人とスイス人一人に向かってアンドリューは食べ方をデモ ンストレートしてくれた。

    「まずコーンブレッドを取ってその横にこうやってチリをのせるんだよ。残ったス ペースにはサラダ、ね。」私たちは彼のお皿を見ながら同じように取り分けていっ た。なーんだ、カレーの要領と一緒だわ、コーンブレッドがご飯みたいなもんね、と 思った。

     ちょっとずつコーンブレッドをフォークで崩しながらチリをかけて食べる。今まで コーンブレッドはあまり好きでなかった私だったけど、このチリとはなかなかのコン ビネーションであることを発見した。私でも食べられる!それにチリもいままで食べ たことのあるチリとはおお違いだ。私の嫌いなキドニービーンズが入っているのにそ れも全然気にならないくらいおいしい。

     すごいじゃない、アンドリュー、これどうやって作ったの?と聞いてみた。そうする と何事もキチンとしている性格の彼は作り方を一通り説明してくれた。「まずひき肉 をバターと一緒にいためるんだ。その後、みじん切りにした玉ねぎを加え、トマト ソースとキドニービーンズをいれて、最後にチリパウダーを加えて30分間煮込むだけ なんだよ。スパイシーなのがいい人はこれにチリソースを加えてもいいしね。それに 僕は今日はヘルシーな七面鳥のひき肉を使ったんだよ。」そうなんだ、なーんだ、簡 単そうじゃない、私でも作れそう。

     東海岸に生まれ、転々としながら子供時代の多くをアリゾナ州で過ごした彼は、こん なメキシコの影響を受けたチリをよく食べていたという。私たちはみんな思いもしな かったこのアメリカのおいしさに感激し、あっという間にすべてを平らげてしまった ことは言うまでもない。

     二日後、彼は私にこのレシピをEメールで送って来てくれた。よくアメリカ料理って なに?と聞かれたり自分でも答えに困ってしまっていたけれど、これからはこれを 作ってあげようと心にきめたのだった。でも、人に作ってあげる前に何度か作って自 分の味にしなくては!
    シャンディ
    シャンディのプロフィール
    兵庫県姫路市生まれ。卒業と同時に子供の頃からの夢であった海外生活をスタート。
    オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、フィジー生活を経て、現在アメリ カ、ロサンゼルスで暮らす。
    外国生活の中で日常の出来事を中心にエッセイを筆記。



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