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ウエッブジャーナル日本海 通巻71号[2005/08/26]
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≪今号の記事≫
  • ちっちゃなテキサスからの親善大使


  • ちっちゃなテキサスからの親善大使

     テキサス、と聞くと何を思い浮かべるだろうか?アメリカの中西部の大草原、カウボーイ、ウェスタン映画、最近ではブッシュ大統領といったところだろうか。アメリカに住んでいてさえも、テキサスというのはいい意味でも悪い意味でもアメリカのアメリカ、という感じのする土地なのは間違いない。アメリカの中でも一番大きな州で、家も車も道も人もとにかくでかい!彼らは大きいことはいいことだ、とこれを誇りとしている。有名なスローガンには「Do not mess with Texan.」(テキサス人にちょっかいを出すな!)というのがあって、彼らはテキサス人ということに高いプライドをもっているのである。

     日本人の私にしてみると、テキサスというのはまだまだ白人主義でアジア人のことなど下級民族のようにしか思っていない保守的な田舎者が集まったところ、というイメージが強くある。まあ、これは極端な話だけれども、かなり保守的なところというのはブッシュの故郷であることからもわかる。

     それが、この間ちょっとした関係でテキサスに行くことになった。今回は実は5年前に行ってからの2回目だ。また、どうしてテキサスなんだろう、と思いながら、テキサス行きを会社の同僚に話したところ、メキシコ系の彼はいった。「テキサスはどうも嫌いなんだ。僕が子供の頃、ボクシングのトーナメントにテキサスに行ったときに入ったレストランに張り紙がしてあったんだ。有色人種お断りって。僕たちのグループはほとんどがメキシコ系だったんだけど、その張り紙をびりびりと破って入ってったよ。黙って対応してくれたけどね。」きっと彼の年齢からすると70年代後半か80年台初めのころではないかと思うけれど、その頃にこんな張り紙が貼ってあったと思うとびっくりである。それでも、確かに有色人種と白人の学校が1つになってからまだ50年とたっていない歴史を考えると保守的な田舎町では十分に考えられる話である。

     こんな話を聞きながら、今回私は一人でテキサスに向かった。アジア人が一人でテキサスに行くなんて、どんな嫌がらせがあるんだろう、と少し不安だったが、しばらく遠くへ行っていなかったので楽しみでもあった。まずロサンゼルスから出発し、アリゾナ州のフェニックスで飛行機を乗り換え、そこからテキサスに向かった。飛行機に乗り込むと小学生くらいの白人の男の子が私の席の隣に一人でぽつんとすわっていた。私が席に着くとその子は私の顔をにこにことしながら眺め、「僕、クリス」「あなたも一人なの?どこから来たの?名前は?」などといろいろ質問し始めた。クリスの話をよくよく聞いてみると、フェニックス郊外のおばさんの家に1ヶ月ほど夏休みの間遊びに来ていて、学校がそろそろ始まるので家に帰るところなんだそうだ。おばさんたちが空港まで送ってくれ、着いた先では両親が迎えに来ているということらしく、飛行機の中ではスチュワーデスの目の届くところに座らせるということで一番前の席だったらしい。彼は私に1ヶ月間のアリゾナステイがどれだけ楽しかったか、テキサスはどんなところかっていうことをうれしそうに話してくれた。また、私が日本から来た日本人なのよ、というと日本人と話したのは人生で初めて、とうれしそうに日本が大好きなクラスメートの話やアメリカで放映されている日本のアニメについて話し始めた。家族のことや学校のこと、将来の話など2時間に渡るフライトの中で楽しく話をしているうちにテキサスにあっという間についてしまった。フライトを降りる頃にはすっかり打ち解けあい、将来はハリウッドにいって映画俳優になりたい、というクリスと電話番号を交換しまたあいましょうね、といって別れた。

     こんなキュートで礼儀正しいテキサン(テキサス人のことをこう呼ぶ)もいるのに、おろかな私は勝手な偏見で彼らを見ていたと思うと申し訳なくなるのである。その後テキサスではいろんな人とお話する機会があったが、どこにいってもみんなすごく愛想がよく、私をきちんと礼儀正しく扱ってくれたのには驚くばかりだった。前回訪れた時は白人の彼と一緒だったから、あまりいやな目にあわなかったのかと思っていたが、そうではないらしかった。いろんな場所を訪れるたびに思うけど、やっぱり人はどこにいっても同じである。何人だからとか、肌が何色だからというのは全く関係ないのである。どこにいってもいい人もいれば悪い人もいる。だから、やっぱりその土地にいって自分で体験することが偏見をぶっとばすもっとも効果的な方法なのである。アメリカの中のアメリカを体験するにはテキサスはお勧め、かも。

    シャンディ
    シャンディのプロフィール
    兵庫県姫路市生まれ。卒業と同時に子供の頃からの夢であった海外生活をスタート。
    オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、フィジー生活を経て、現在アメリ カ、ロサンゼルスで暮らす。
    外国生活の中で日常の出来事を中心にエッセイを筆記。



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