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ウエッブジャーナル日本海 通巻72号[2005/09/22]
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≪今号の記事≫
  • ハリケーンの脅威


  • ハリケーンの脅威

     去年、インド洋を津波が襲った時、後進国で起こったから救助活動も遅れたんだよ、と多くが思っていたこのアメリカで、大規模な自然災害が発生してしまった。アメリカ中がイラク戦争そっちのけでハリケーン一色となっているのだ。

     10年前に神戸で起こった地震の際にも、政府の介入が何日も遅れたために一体どんな後進国に住んでいるんだろう、と思った人がわんさかいたと聞いたけれど、今回アメリカ人も同じ思いを痛感したようだ。イラクやアフガニスタンにいなくとも、こんな大災害が起こると結局はどこの政府もかめさん状態、だと。

     今回は数日前から今までにない大型ハリケーンがやってくることが予期されていたにもかかわらず、体験したことのない世代の人たちは結構のんきに構えていた。毎年大型ハリケーンが訪れると、エリアごとに避難命令がおりて、車で街を脱出する人がテレビに映しだされているけれども、ハリケーンには全く関係のないカリフォルニア住まいの私たちはまたか、などとあまり興味も示さずにテレビを見ていた。最初の数日は自発的な避難を呼びかけていたけれど、直撃する1日前にはすでに強制避難命令がでていたにもかかわらず多くの人が街に残ることになってしまった。

     ハリケーンが去った後、街の警官総出動、国軍が介入し、逃げ遅れた人たちの救出にあたっていたけれども、インタビューを受ける人達みんながまるで戦争地域にいるようだ、とコメントしているくらい、悲惨な状況だ。

     一瞬、逃げなかった人は自業自得、と思ったりもしたが、なかなかそんな簡単にことを片付けることは出来ないということもわかってきた。もちろん、救助隊がやってきても、自分の家が心配だから、犬がいるからなどという自分勝手な理由で逃げない人もいて、それは彼らの選択だからどうなっても仕方がないのかもしれない。それでも、実際には逃げるといってもその手段になる車はもちろんのこと、バスなどに乗るお金さえない人たちがアメリカにはまだたくさん存在する。また、その土地から離れたことなど一度もなく本当にどうしていいのかわからない人たち、体が不自由で身動きの取れない老人たちなど様々な理由があったようだった。1週間経った時点でも、街には電気、飲み水、食べ物、仕事さえもない、あるものは病気、疲労と困惑だけの状態なんて、今この何でも揃う時代に果たして考えられるだろうか?今回の状況は想像を絶し、無法地帯となったエリアの出頭命令に対し、実際に召集をかけられた1/4とも1/3とも言われる警官が仕事を投げ出し出頭しなかったとか、あまりの悲惨さに耐えられなくなって自殺してしまった警官など生きて残った人にとっても生死をかける戦いとなってしまった。

     友人の一人が「そろそろピストルでも用意しようかな?」と言い出した。銃所持を徹底して反対していた彼がいうからびっくりして、理由を尋ねたところこういった。「今回のハリケーンの情勢をみて思ったんだ。何かあったら政府は助けてくれない。水が不足してたから、水を持ってるだけで強盗が入ったり、銃で撃たれて殺されたりしているんだ。でも、水がないと生きていけない。これは生死をかける問題なんだ。」この返答には、銃所持反対の私としてはなんと答えてよいのか困った。彼は銃を所持している人の方が殺される確率が高いのも、盗まれて悪用されるケースが多いことも十分に承知している。今回の状況をみて、どれだけの人がそう思ったかはわからないけれども、災害には関係のなかった外国のようなカリフォルニア住民までにも精神的に大きな影響を与えていることは確かである。簡単に銃が手に入るアメリカならではの発想だけれども、それにしてもみんながこう思ったとしたらちょっとぞっとするのである。

    シャンディ
    シャンディのプロフィール
    兵庫県姫路市生まれ。卒業と同時に子供の頃からの夢であった海外生活をスタート。
    オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、フィジー生活を経て、現在アメリ カ、ロサンゼルスで暮らす。
    外国生活の中で日常の出来事を中心にエッセイを筆記。



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